「ゆっくりと生きる。」
自分の横を流れる時間と同じスピードで生きていきたいと思います。
季節の移ろいの中に身を置き、その旬の空気と呼応する喜びを享受しながら、暮らしと切り離すことのできない食を大切にし、日常の生活の中で慎ましく実践していきたいと思っています。
そして、その中をゆっくりと時間が流れる、ひとりひとりに合った上質な建築を作り続けたいと思っています。


伝える

私は自身のホームページをどのように構成すれば、私の考え方、私の仕事のやり方、そしてより本質的な部分までをも表現でき、それを未だ見ぬ相手に伝えることができるかを考えて来ました。どんなに美しく、洒落て、カッコ良く作られていても、それが美辞麗句で飾り立てられたり、実際以上に良く見せるものであったり、実際とかけ離れた虚飾のフィルターに覆われたものであってはならないという思いが強くありました。実際の建築を見てもらうことが一番正確に伝えることができるわけですが、これが適わないことであるなら、私が建築を作る時の思いや考えを、文章の中で感じ取ってもらえないかと考えました。そんな理由から私のホームページは随所に文章を置いて、そこから関係するページにリンクすることで、一連の流れが読み取れるようにしてあります。
そして、これらの文章の内容を示すキーワードの一つにSlowがあります。


Slow FoodとFast Food

トップページのインデックスで、MassageからLOHASまでは私の考え方を総括的に掲げてあります。そして、ProfileからLinkまではそれらをより具体的な事例で示しています。
どうしてSlowという言葉が3番目にあるのかというと、等身大の自分を表現できる言葉として、4番目のLOHASという言葉を選びました。私にとってLOHASが実践であるとするなら、その主旨と乖離しない生き方や、それを支える普段の暮らしがなくてはならないと思っています。私はそれをSlowという言葉で表すことにしました。
お気付きかもしれませんが、このSlowという言葉は、Slow Foodに起因するものです。1986年にイタリアで始まったスローフード運動を指しています。人間としての暮らしの営みの根幹を成す食を大切すること、そこから自分たちの生き方を見直し、自分の周りの全ての恵みに感謝し、慈しみ、敬い、守り、そして共生する。これらは今やグローバル化によってはびこるファーストフードとは、全ての点で対極をなすものと言うことができます。


Fast Food的建築

これは建築にも当てはめることができます。ファーストフードのような建築とは、グローバル化を掲げ、世界中で固有の歴史的、民族的、地域的、気候的特性を無視して均一化をはかることで、生産性と利潤のみの拡大を目指したものを言っています。北米や北欧から輸入された高気密・高断熱を謳う模型のような住宅建築も、住宅展示場に並ぶ建築も、住宅街に何件かまとまって突如出現する建売住宅も、メディア受けだけを主眼に置いて設計された近代的な住宅も、コンセプトだけに偏重した建築も、生活感を切り捨てた建築も、ディティールのない建築も、すべてこの仲間に入ると私は考えています。
私はファーストフード的建築を作ろうとは思いません。例えそれが数坪の改修工事であっても、建築とは急がず、そこに暮らす人の目線でゆっくりと作るものでなければならないと思います。