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長岡市は雪の多いところです。以前、この地の図書館の設計メンバーの一員として関わった時に、冬期の雪降ろしがいかに大変かということを、雪庇が軒先をどれほど痛めるかということを、また地下から汲み上げた融雪用の水が道路や建物を鉄錆色に汚すかということを知りました。図書館では雪降ろし作業からの職員の負担を軽減するために、3mの積雪に耐える構造にしたと記憶しています。 雪 この地方の人々とって、避けて通れない雪との関係が尽きることなく続き、鉛色の空から落ちてくる湿った重い雪は、人々の生活を家の中に引き込もらせます。しかし春になるとそこかしこに桜が咲き、その中で人々は花見を楽しみ、夏には信濃川の河川敷から打ち上げられる、日本一の三尺玉花火が夜空を美しく焦がすのを見に家族がこの町に帰って来ます。そんな季節の温もりあるまちでこの住宅の設計を手掛けました。 中庭 古くから続く大きな農家を別にすると、この家はこのまちでも比較的大きい中に入ると思います。この家は将来の三世代同居も踏まえた上で、当面は夫婦と祖母の三人が生活する家ということで設計を進めたものです。設計に当たり私は周りが一面の雪に閉ざされても、そこだけは雪のない中庭のある家を作りたいと考えました。冬、家人やこの家を訪れる人々はこの雪のない中庭を通って出入りし、春、窓を開け放つと、心地よい風が家の中を通り抜ける、中庭がそんな風の道になることを思いました。 前面の道路との境に塀はなく、解放的な階段を数段上った所にこの中庭はあり、玄関や車庫などが取り囲んでいます。玄関を入り玄関ホールを真直ぐ進むと、二間続きの和室が庭に面して南に続いています。玄関ホールを左に進むと、居間とキッチンそして祖母のための和室が庭に面して東に続いています。そして玄関から中庭をL字に囲む廊下に沿って、階段や洗面・お風呂などが続き、倉庫を通って車庫に降りることも北側のサービスヤードに出ることもできます。当然、雨の日はこのルートを逆に辿って、車庫から直接室内に入ることもできます。 2階は階段を挟んで一方が主寝室や書斎などの夫婦のためのエリア、もう一方が3世代同居のためのエリアになっています。2階の夫婦のためのエリアも3世代同居のためのエリアも中庭を挟んで配置することで、互いの独立性が確保され平等に南に面する居住環境を得ています。 この家の内装は、ほとんどの部屋がクロス貼りかクロス貼りの上に塗装を施していますが、和室は左官壁で、トイレは縁甲板貼で仕上げています。床材はナラのフローリングを使い、玄関・廊下・倉庫以外は床暖房になっています。また冷暖房方式はヒートポンプ型空気調和機と全熱交換機の併用でエネルギーの有効利用を図っています。寒冷地のため断熱は吹付け断熱材を使用し、屋根も断熱防水を施工しています。 |
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